サル日記40

40への階段。

ひさしぶりに「ふざけるな」と思った!『高校生のためのゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎/山本貴光、ちくまプリマー新書)読書感想

この本の目次

第1章 キャラクターに知能を与えよう
第2章 環境のなかで人工知能を動かそう
第3章 メタAIでよき遊び相手を目指す

この本の要約

 人工知能の作り方を具体的に、ゲームを例にしてわかりやすく解説する。ゲームのキャラが「主体的に」動くためには、キャラに視覚・聴覚を与えて周囲を「認識」し、その情報をもとに「思考」し、実際に「行動」する仕組みを作ってあげればよい。さらにゲームを面白くするために、ゲーム全体を俯瞰し操作する神の手「メタAI」という仕組みを入れるとよい。

 

この本で印象に残ったこと。

 まず最初に言っておきますが、この本はAIの作り方をゲームという具体例を通じて説明されているので、非常にわかりやすい良書だと思います。高校生がプログラミングするときの参考になる本ということは間違いありません。

 ただ、私はこの本を読んでいてものすごく腹立たしくなったんです。血圧がガンガン上がっていていくのを感じました。もし本を読んだ場所が電車内でなくて、自分の部屋で読んでいたなら「ふっざけんなクソが!!!」と絶叫とともに本を投げつけていたでしょう。まさか、こんなわかりやすい理系の入門書で怒り心頭になるとは自分でもビックリです(笑)

 

 私が怒りを感じたのはこの本の第3章。「メタAI」について解説された部分です。

 

 人間はけっこう贅沢といえば贅沢なもので、ゲームに出てくるモンスターが強すぎて勝てないのもつまらないし、逆に弱すぎて手ごたえがまったくないのもつまらなかったりします。(150ページ)

 

 モンスターは「時代劇のやられ役」でなければなりません。(151ページ)

 

 もし敵キャラ個々のAIだけ搭載されていた場合、敵キャラが個々の目的(打倒プレイヤー)に熱心になるあまり、プレイヤーを一方的にボコボコにするかもしれません。そうするとプレイヤーが「なんだこのクソゲー!二度とやるかボケ!」と涙目になるわけですね。

 そこで登場するのが「メタAI」というものなんです。

 

 ゲーム中に映画監督のような立場があれば、この監督がゲーム全体の状況やプレイヤーの行動をチェックして、モンスターたちに指示を出しながら、その行動に合わせて面白くなるような状況をつくっていけばよいわけです。この仕事は、ゲーム世界のいわば現場にいるそれぞれの個々のキャラクターたちではまかなえません。(中略)こういう映画監督のような働きをする人工知能を「メタAI」と言います(154ページ) 

 

 例えば、ゲームの状態を観察してみたところ、プレイヤーのブルー軍が有利で、このままではゲームが簡単すぎてしまいます。そこで、天候を利用して、戦場の状態を変えてみましょう。雨を降らせて足元を悪くします。(中略)こんなふうにすると、プレイヤーは戦いづらくなって、優勢な状況が緩和されるかもしれません。
逆にプレイヤーが不利すぎると判断した場合は、ブルー軍の背後から風を吹かせてみましょうか。(179ページ) 

 

 メタAIはゲームの世界全体をチェックして、必要に応じてゲーム世界に存在するさまざまなものに働きかけ、調整するAI(中略)たとえるなら、このゲーム世界がプレイヤーにとっていっそう楽しくなるように調整する神様のような存在です。(232ページ) 

 

 これってさあ・・・

 

 つまりパチンコで言うところの「遠隔操作」じゃん。

 

 そう思った瞬間、怒りがふつふつとわいてきて・・・・

 


 ・・・プチッ!

 

 


 ふざけるな!!

 

 

 

 俺は完全確率を! 純粋にランダム性を楽しみたいからパチンコ打ってるの! 時にはボコボコにやられることもありますよ。でもそれでいいんですよ! 確率の残酷さ、理不尽さも味わいの1つなんですよ! それをメタAIとやらに「このオヤジ朝から10万も突っ込んでるから、まあ5万くらい返してやるかw そうすれば明日も懲りずに来てくれるだろwww(遠隔ボタンポチー)」なんてやってもらいたくないわ!!!! クソが!!!!1


 まあパチンコはともかく、1つ声を大きくして言いたいのは・・・

 

 この現実世界に「メタAI」なんて神はいないんだよ!!!

 

 現実は理不尽なこともあるんだよ!! ボコボコにやられることだってあるんだよ!!! それでも人間は、生きてれば・・・・!!! なんとか努力して、努力して、生きてれば・・・・それが報われることもあるんだよ!!!! それが現実なんだよ!!!

 

 いやいやゲームの話だからいいじゃん。現実とは違うんだよ。っていう方もいるでしょうが、人間はバカだから勘違いするんです。努力をしないでメタAIに勝たせてもらったのに「俺つえー」ってイキがるんです僕ら人間は。そして現実でも努力を怠るダメ人間あふれるクソッタレ世の中が誕生するに違いないと思うんですよ。だから最低でも「このゲームはメタAIを使って難易度調整する仕組みを使っています」というアナウンスはしてほしいです。この世界を腐らせないために。お願いします。

 

 だいたいにしてさあ。ゲームにメタAIなんている?

 

 昔のファミコンゲームを思い出してください。難易度高くて、理不尽にやられるクソゲー。それだって面白かったじゃないですか! 愛らしいじゃないですか! 何度もくじけずにチャレンジして、クリアできたら最高にうれしいじゃないですか! なんだこのクソゲーつまんねーと思ってやめる人が多くても別にいいじゃないですか! そういう人は別の何かで有意義に時間使えばいいんだから! それを「メタAI」なんてずるい仕組みで人をだまして、自分のゲームをたくさんプレイしてもらおう(課金してもらおう?)なんて卑怯だと思う。そう思うのは私だけ?・・・なのかなぁ。 まあ老害ですよ僕は! すいません!

 

 メタAIなんていりません。

 

 もしこれからメタAIが搭載されたゲームばかりになるんだったら、ゲーム業界お先真っ暗だと思います。少なくとも私はそんなゲームまっぴらごめんです。